●人名漢字などどうしても外字をつくらなければならない場合があります。ここでは Macintosh で定評のある Fontographer というソフトウェアを使用して1バイト系の外字を作り,Windows TeX で利用する方法を述べます。1バイト系ですので,すべての欧文Type 1フォントにも適用できますが,例として MaruGaiji という丸付き数字の外字を作成するものとします。
●Windows 側ではあらかじめ適当なフォルダ,例えばCドライブの直下に gaijiSample というフォルダを作成してください。また以下を参考に4つのフォルダを作成しておいてください。
・$TEXMF\fonts\tfm\gaiji ・$TEXMF\fonts\type1\gaiji ・$TEXMF\fonts\vf\gaiji ・$TEXMF\fonts\pk\modeless\gaiji
・ファミリー名:MaruGaiji ・エンコーディング:Macintosh●続いて「フォントファイルの作成」です。設定は以下の通りです。
・コンピュータ:Sun ・フォーマット:PostScript Type 1●以上の操作で,MaruGaiji.afm という afm ファイルと MarugGaiji.ps というType 1フォントが作成できます。
・$TEXMF\fonts\type1\gaiji に MarugGaiji.ps を格納。
C:\gaijiSample>\afm2tfm mgai8a.afm -p 8r.enc -t ec.enc -v mgai8t.vpl mgai8r.tfm●この実行によって,mgai8r.tfm と mgai8t.vpl が生成されます。
・$TEXMF\fonts\tfm\gaiji に mgai8r.tfm を格納。
C:\gaijiSample>\vptovf mgai8t.vpl
・$TEXMF\fonts\tfm\gaiji に mgai8t.tfm を格納。 ・$TEXMF\fonts\vf\gaiji に mgai8t.vf を格納。
【fd ファイル作成の例】
\input fontinst.sty
\installfonts
\installfamily{T1}{mgai}{}
\transformfont{mgai8r}{\reencodefont{8r}{\fromafm{mgai8a}}}
\installfont{mgai8t}{mgai8r,latin}{T1}{T1}{mgai}{m}{n}{}
\endinstallfonts
\bye
●次に TeX を実行すると,t1mgai.fd という fd ファイルが生成されます。
C:\gaijiSample>\platex fdinst
・$TEXMF\tex\latex\psnfss にt1mgai.fd を格納。【プリアンブルでの記述例】
\DeclareFontFamily{T1}{mgai}{}
\DeclareFontShape{T1}{mgai}{m}{n}{<-> mgai8t}{}
●プリアンブルで記述した方が簡単なようです。
mgai8r MaruGaiji <MaruGaiji.ps "TeXBase1Encoding ReEncodeFont" <8r.enc【ご注意】
mgai8r MaruGaiji <MARUG___.PFB "TeXBase1Encoding ReEncodeFont" <8r.enc mgai8r MaruGaiji <MaruGaiji.ps "TeXBase1Encoding ReEncodeFont" <8r.encMARUG___.PFB が使用されます。
・フォントネームで長い記述があっても,適当な改行は入れないでください。
(誤)psv8r Souvenir-LightItalic <Souvenir-LightItalic.ps "TeXBase1Encoding ReEncodeFont" <8r.enc (正)psv8r Souvenir-LightItalic <Souvenir-LightItalic.ps "TeXBase1Encoding ReEncodeFont" <8r.enc(誤)の方は gsview などでエラーとなります。
【gaiji.tex での記述例】
\documentclass{jbook}
\usepackage[dvips]{graphicx,color}
\DeclareFontFamily{T1}{mgai}{}
\DeclareFontShape{T1}{mgai}{m}{n}{<-> mgai8t}{}
\def\丸外字#1{%
\raisebox{-.5pt}{\fontsize{10}{18}\useroman{T1}{mgai}{m}{n}#1}}
\begin{document}
\丸外字{1}外\丸外字{2}字\丸外字{3}の\丸外字{4}サ\丸外字{5}ン
\丸外字{6}プ\丸外字{7}ル\丸外字{8}で\丸外字{9}す\丸外字{0}。
\丸外字{A}\丸外字{B}\丸外字{C}\丸外字{D}\丸外字{E}\丸外字{F}\丸外字{G}%
\丸外字{H}\丸外字{I}\丸外字{J}\丸外字{K}\丸外字{L}\丸外字{M}\丸外字{N}%
\丸外字{O}\丸外字{P}\丸外字{Q}\丸外字{R}\丸外字{S}\丸外字{T}\丸外字{U}%
\丸外字{V}\丸外字{W}\丸外字{X}\丸外字{Y}\丸外字{Z}
\丸外字{a}\丸外字{b}\丸外字{c}\丸外字{d}\丸外字{e}\丸外字{f}\丸外字{g}%
\丸外字{h}\丸外字{i}\丸外字{j}\丸外字{k}\丸外字{l}\丸外字{m}\丸外字{n}%
\丸外字{o}\丸外字{p}\丸外字{q}\丸外字{r}\丸外字{s}\丸外字{t}\丸外字{u}%
\丸外字{v}\丸外字{w}\丸外字{x}\丸外字{y}\丸外字{z}
\end{document}
●それから gaiji.tex をコンパイルします。
C:\gaijiSample>\platex gaiji●gaiji.dvi ができますが,DVIOUT で pkフォントが $TEXMF\fonts\pk\modeless\gaiji に生成されず,\gaijiSample フォルダに生成される場合があります。この時は,その pkフォントを $TEXMF\fonts\pk\modeless\gaiji にコピーします。すると外字も表示できるようになります。また DVIOUT のなんらかの障害で表示できなくても,GSview では問題なく表示できます。なお DVIOUT プロパティの Font 欄には,
■NEC 拡張文字を利用する場合
●これは Windows TeX で,NEC 外字を利用したい場合です。IBM 拡張文字は dvips(k) ではサポート外になりますので,ここではとりあげません。 90ms.map と config.90ms をエディターで作り,コンパイルします。
【90ms.map の内容】
rml Ryumin-Light-90ms-RKSJ-H gbm GothicBBB-Medium-90ms-RKSJ-H【config.90ms の内容】
SJIS p +90ms.map●これらのファイルを作成したら,サンプルの necgaiji.tex をコンパイルします。
C:\gaijiSample>\platex necgaiji C:\gaijiSample>\dvipsk -P90ms necgaiji●この結果,問題なく使用できるようになります。
■サンプルファイルのダウンロード
●以上で使用したすべてのサンプルファイル gaijisample.zip がダウンロードできます。
解凍後は C:\gaijiSample フォルダにコピーしてご使用ください。
■OTFパッケージを利用する場合
●OpenType フォントはクロスプラットフォームで活用可能な新しいフォントファイル形式で,Adobe 社とMicrosoft 社が共同開発したものです。その OpenType は Adobe-Japan1-3 以降の規格ですが,特にPro 仕様の OpenType は,Adobe-Japan1-4 に準拠した15,444文字が収録されており,多くの異体字(正字・旧字)や記号を含んでいます。Adobe-Japan1-5 ではいわゆる第三,第四水準の漢字など20,317字,最新の Adobe-Japan1-6 では23,058字となっています。
●また従来の PostScript Type 1(OCF/CID)ようにプリンター側にフォントを搭載する必要がなく,アプリケーション及びドライバーが OpenType に対応していれば,ダイレクト出力が可能となっています。
●OpenType を使用して,上記の丸付き数字や記号類,人名用漢字など幅広く TeX で利用できます。ここでは,PostScript Type 1 と OpenType が混在する場合と OpenType のみ使用する場合でご説明します。
●OTFパッケージの入手先やインストール方法等については,奥村先生のOTFページ等をご参照ください。
●まず,$TEXMF\fonts\opentype\kozuka のフォルダを準備しておきます。Acrobat 6.0 以降がインストールされていれば,\Program Files\Common Files\Adobe\PDFL\6.0\Fonts の
・KozMinPro-Regular-Acro.otf
・KozGoPro-Medium-Acro.otf
を\kozukaフォルダにコピーします。また \Windows\Fonts にもコピーしておきます。
●このフォントは Adobe-Japan1-4 に準拠した OpenType ですが,通常はこれで十分間に合います。
・CID番号は10進で表記し,Adobe-Japan1-4 の場合は \CID{0} から \CID{15443} の範囲です。
●PostScript Type 1 と OpenType が混在する場合の文書ファイル gaijiotf.tex での記述と処理の例です。
【gaijiotf.tex の記述】
\documentclass{jbook}
\usepackage[noreplace]{otf}
\begin{document}
これはPostScript Type 1とOpenTypeが混在している例です。
Adobe-Japan1-4のCID番号は\CID{0}から\CID{15443}の範囲です。
森鴎外と森\CID{7646}外
\CID{1481}飾区と\CID{7652}飾区
CID番号が指定できる\CID{1481}と\CID{7652}の例だが,葛と\UTF{845B}のように
16進4桁で表記するUnicodeでは同じコード番号の845Bが割り当てられているので,
区別できない文字があります。
\CID{7555}\CID{7556}\CID{7557}は,
\ajMaru{1}\ajMaru{2}\ajMaru{3}のようにわかりやすいマクロで記述できます。
\end{document}
●Adobe-Japan1-X の収録文字とCID番号を調べたいときは,
Adobe-Japan1-6.pdf や
『改訂第4版 LaTeX2e 美文書作成入門』(奥村晴彦著)の付録L等をご参照ください。【gaijiotf.tex の処理】
C:\gaijiOTF>platex gaijiotf C:\gaijiOTF>dvipsk gaijiotf●DVIOUTで確認したい場合は,あらかじめ $user.map を準備し,
●dvi ファイルから直接PDFを生成できる dvipdfmx でもPDFを作ってみましょう。
ただ dvipdfmxを使用する場合,$TEXMF\fonts\map\dvipdfm\baseにある cid-x.map よりも,
$TEXMFLOCAL\fonts\map\dvipdfmの cid-x.map が優先されるのでご注意ください。
その cid-x.map に,以下を追加します。
rml H !Ryumin-Light gbm H !GothicBBB-Medium rmlv V !Ryumin-Light gbmv V !GothicBBB-Medium●dvipdfmx で処理します。
C:\gaijiOTF>dvipdfmx gaijiotf●gaijiotf.pdf は文書のプロパティで,予想通り Ryumin-Light は埋め込まれず,KozMinPro-Regular-Acro は埋め込まれているのが確認できます。
【sampleotf.tex の記述】
\documentclass{jbook}
\usepackage{otf}
\begin{document}
これはOpenTypeのみを使用する例です。
Adobe-Japan1-4のCID番号は\CID{0}から\CID{15443}の範囲です。
森鴎外と森\CID{7646}外
\CID{1481}飾区と\CID{7652}飾区
CID番号が指定できる\CID{1481}と\CID{7652}の例だが,葛と\UTF{845B}のように
16進4桁で表記するUnicodeでは同じコード番号の845Bが割り当てられているので,
区別できない文字があります。
\CID{7555}\CID{7556}\CID{7557}は,
\ajMaru{1}\ajMaru{2}\ajMaru{3}のようにわかりやすいマクロで記述できます。
\end{document}
●処理は gaijiotf の場合と全く同様に行います。
そして,sampleotf.pdf 文書のプロパティでフォントが全て埋め込まれていることを確認します。
●ここでは Acrobat 6.0 がインストールされていることを前提に
説明しましたが,Acrobat 7.0 以降がインストールされていれば,
\Program Files\Common Files\Adobe\PDFL\7.0\Fonts の
・KozMinProVI-Regular.otf
・KozGoPro-Medium.otf
が利用できます。特に,KozMinProVI-Regular.otf は
Adobe-Japan1-6 で収録されている23,058文字が使用できます。